2009年07月13日

サルコジ

「サルコジ-マーケティングで政治を変えた大統領」を読んだ。

朝日新聞のパリ支局長が書いたサルコジの破天荒な経歴、および今までのフランス大統領と大きくことなる政治手法について書いた本だ。

以下はアマゾンの説明文。
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東欧移民二世の小男。結婚三回で妻は奔放なスーパーモデル。酒を呑まず、文化にも興味なし。私生活は世にさらし、公衆の面前で平気で他人を罵倒する―。サルコジは、従来のフランス大統領像をことごとくくつがえす。「ストーリーテリング」というマーケティング技術を活用し、大衆の視線を常にひきつけるその政治手法を、気鋭のジャーナリストが解き明かす。
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こんなに風変わりな人間がフランスの大統領であることを、寡聞にして知らなかった。確かに、シラクやミッテランとは違う。
内容が読み物として面白い。本当にドラマチックだし、それを恥じずに行っているところが潔い。筆者の分析も非常に緻密で、なるほどなるほど、とページがどんどん進んでしまう。あっと言う間に読み終わってしまう本だ。

詳しい内容は本を読んだ方が面白いので説明するつもりはないが、ひとつ思ったのはフランス人の凄いところは、こういう人間を大統領に選び、結構長い間支持しているということ。

日本だったら間違いなくこんな人間は首相には選ばれないだろうし、最近は政治資金なんかに関してどんどん厳しくなって、普通の、清廉潔白な人でなければ生き残れなくなっている。勿論不正をしてもいいというわけではないが、国家の主席に求められるべきものはあくまで政治家としての力量であって、国を正しい方向に導いてくれればそれでいいのに、と思う。
今日本にいる政治やっている人たちって、一昔前の妖怪みたいなのがまったく居なくなってしまっていて、さびしい限りだと思う。
なぜなら、そういう人を今の日本人が支持しないからなのだけども、
そう考えると、日本には今後サルコジのような首長は出てこないのだろう。
日本の未来は暗いと改めて思った。フランスの大統領についてのノンフィクションを読んだだけなのに。

4106036363サルコジ―マーケティングで政治を変えた大統領 (新潮選書)
国末 憲人
新潮社 2009-05

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↑ソフトカバーが読みやすい。ノンフィクションはソフトカバーに限る。
posted by カミチョフ at 19:05| 東京 晴れ| Comment(1) | TrackBack(0) | 本(ノンフィクション) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年07月09日

1Q84

1Q84を読んだ。

しばらく前に読み終わっていたのだが、なかなか上手く頭の中で感想がまとまらなかった。
でも時間がたってもまとまりそうにないので、とりあえず書いておくことにする。

まず、面白かったか面白くなかったか。
本を読んで、読んでいる間じゅう夢中になって、会社で仕事したり勉強したりしている間も本の続きが気になる、という意味で面白かった。
文章やストーリーの安心感はさすが村上春樹だし、描かれる世界はまさに望んでいる村上春樹ワールドが展開されている。頭の中は登場人物の生き生きとした活動と、彼らの内面世界への感情移入で圧倒されてしまう。

本の面白さを、読んだ後にどれだけ無邪気に「あー、面白かった」と思えるか、とすると、この本は全然面白くなかった。分からないことが多すぎるし、分かった部分だって特に愉快なことがあるわけではない。
読んだ後に面白いと思える本だったら、「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」のほうがよっぽど面白いだろう。たぶん。

でも、村上春樹って多かれ少なかれ、もともとそういう作家だったと思う。さわやかな読後感を得ようと思って読む作家ではないのだ。
「ノルウェイの森」も実はそうだったし、「アンダーグラウンド」以降は特に、描かれている主題、登場人物の未来が、まったく手放しで喜べるようになっていないのだ。それはそのまま村上春樹の世の中を見る視点なのだろうし、自分もそれには基本的に賛同する。だから好きなのだ。

この本は、非常に「村上春樹的」だ。研ぎ澄まされているし、無駄を排除している。彼の描きたい世界観が濃密に展開されている。人によってはそれが作為的にすぎるとか、遊びがなくてつまらないという人もいるだろうが、自分としては、まさにこれが村上春樹にしか書けない文章であり(いわゆる「村上春樹風文体-メタファーの多用と違う意味で)、賞賛されるべきだと思うのだ。そこに簡単な解がないのだから、読後感はすっきりしない。それは仕方のないことだ。世の中がすっきりしていないのだから。

最後に、これから1Q84を読む人がいたら、ぜひエルサレム賞受賞の際のスピーチを読んでほしいと思う。まさに卵の話だと思うし、そう思いながら読んだ方が、より登場人物に感情移入できるのではないか。

1Q84 BOOK 1
1Q84 BOOK 1村上 春樹

新潮社 2009-05-29
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↑もう本屋でも買える。最初からたくさん刷ればいいのに。増刷がしたかったのだろう
posted by カミチョフ at 19:37| 東京 不明| Comment(2) | TrackBack(0) | 本(日本) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月24日

アンティキテラ 古代ギリシャのコンピュータ

アンティキテラ 古代ギリシャのコンピュータというノンフィクションを読んだ。

あらすじ。ーーーーーーーーーーーーーーーーー
発見された2000年前の沈没船、引き揚げられた奇妙な謎の機械、その機械の内部には、複雑な歯車の構造があった。歯車による入力と出力の自在な変換は、中世の時計の発明を待たねばならぬはずだった。それが蒸気機関と結びついた時、「産業革命」が興り、数字と結びついた時、コンピュータは生まれた。二〇〇〇年前のギリシア人がつくりあげたその機械―アンティキテラ。いったい誰が何のために創った機械だったのか?大興奮必至の科学ノンフィクション。 ーーーーーーーーーーーーーー


これ、本当にノンフィクションなの?っていう位の面白さ。

まず出てきたものが凄い。2000年前のものだとすると、技術的には1000年くらい早すぎる。どういうことなのか。当時のギリシャ人にそんなものが作れたのか。その謎が徐々に解かれていく。この歯車とこの歯車を合わせると月の一周に一致!とか、当時は天動説と地動説の2つの説が有力で・・・とか。いちいち、歯車が素数とか、ディテールでも男心をくすぐる。

さらに。100年かけて謎が解明されていくわけだが、その流れが通り一遍のものではない。戦争やギリシアをめぐる情勢に左右されたり、関わった人間の個性に左右されたり・・・
さらにそこに、当時の地中海の漁師の生活が描かれていたり、科学者の嫉妬、裏切り、ひらめき・・・そして最後は息をつかせぬデッドヒート。
謎に惹かれてしまった人間たちの織り成すドラマが謎そのものに花を添えている。

オーパーツとか、ムーとかより、現実の歴史のほうがよっぽど面白いよ。

あと、この機械の謎自体は解けたのだが、これだけの技術がなぜ埋もれてしまったのか?など、さらなる謎は続く。アラビア/イスラム文明にこの技術が部分的にも伝わっていたとしたら・・・まだまだロマンは多い。


ところで、小説も日本と外国ってお作法の違いはあるが、ノンフィクションってなんでこんなに書き方が違うんだろう。日本だとどうしても「○○さんに話を聞いた。○○さんの言うには〜」みたいになってるような気がする。
きっと、事実をありのままに伝える、という新聞記者的な哲学が背景になるのだと思うけれども、逆にいうと、世の中には「事実」というものがあって、ノンフィクションというジャンルではそれができるようではないか。
個人的には、フィクションとノンフィクションの間にはなだらかな境界があるだけではないかと思っている。書き手の思いが現実を曲げた形でしか文章にできないので。
その意味では、これくらい思いをたたきつけたノンフィクションが、日本でもどんどん書かれればいいのに、と思う。

4163714308アンティキテラ古代ギリシアのコンピュータ
木村 博江
文藝春秋 2009-05-14

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↑これを読んだら、生まれ変わったらギリシャ時代の天文学者になりたいと思うはずだ。



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posted by カミチョフ at 17:49| 東京 雨| Comment(0) | TrackBack(0) | 本(ノンフィクション) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月23日

魂のゆくえ

くるりの魂のゆくえを聴いた。


新しいアルバムだ。
いい。最高。前作の「ワルツを踊れ」も好きだったけれど、あれは無理に前衛的な方向に進んでいたような、着慣れないスーツを着ていたような感覚があった。

今度のは、方の力は抜けて、でもそれ以外のところにはきっちり緊張感が入っていて、ものすごく聴けるアルバムになっていると思う。

派手な曲はないし、踊れる曲が多いわけでもないし、聞いた瞬間泣くようなバラードがあるわけでもないのだが、一曲一曲が、深くて、何度も聴くと聴くだけしみてくる。
歌詞もよい。感傷的じゃないのにやさしい気持ちになれる歌詞。
音の作りも、声も、コーラスも、ベースもピアノもいい。

今このアルバムを作れるのは、日本にはくるりしかいないだろう。
ライブに行きたくなってきた。


B001XBP5YG魂のゆくえ
くるり
ビクターエンタテインメント 2009-06-10

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↑ジャケットも、派手じゃないけどいいジャケットだ。というかくるりって基本的にジャケットの趣味が悪かいから特に。あ、あと謎の板の意味が分かりません。誰か教えてください。


タグ:くるり 音楽
posted by カミチョフ at 19:40| 東京 晴れ| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽(CD) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月22日

シャックリ

乞局の「シャックリ」(本当は漢字なんだけど変換されない)を観た。

ホームレスが公園の中に擬似国家のようなものをつくり、その中に外から「神様」を選び・・・という話。

今までの乞局のテイストからはちょっと離れていて、現実ぽいというか(充分現実離れしているのだけれども)、ありそうな話だし、目を背けたいという雰囲気でもない。

ただ、逆説的に、そこに行けそうな気がする分だけ、今までよりも残酷な物語になっているような気がする。いつでも自分がそうなるんだよ、と。

手すりのない崖から下を除いているような、しかも丁寧に崖の下に死体が何人か、いるような・・・そんな感覚。

観終わってしばらくしたら、本当は自分が死体だった気がしてくる。
状況じゃなくて、中身はどうなの?と。
そんな心地よい毒のある芝居だった。

タグ:乞局 演劇
posted by カミチョフ at 17:11| 東京 雨| Comment(2) | TrackBack(0) | 演劇 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする