あらすじ。ーーーーーーーーーーーーーーーーー
発見された2000年前の沈没船、引き揚げられた奇妙な謎の機械、その機械の内部には、複雑な歯車の構造があった。歯車による入力と出力の自在な変換は、中世の時計の発明を待たねばならぬはずだった。それが蒸気機関と結びついた時、「産業革命」が興り、数字と結びついた時、コンピュータは生まれた。二〇〇〇年前のギリシア人がつくりあげたその機械―アンティキテラ。いったい誰が何のために創った機械だったのか?大興奮必至の科学ノンフィクション。 ーーーーーーーーーーーーーー
これ、本当にノンフィクションなの?っていう位の面白さ。
まず出てきたものが凄い。2000年前のものだとすると、技術的には1000年くらい早すぎる。どういうことなのか。当時のギリシャ人にそんなものが作れたのか。その謎が徐々に解かれていく。この歯車とこの歯車を合わせると月の一周に一致!とか、当時は天動説と地動説の2つの説が有力で・・・とか。いちいち、歯車が素数とか、ディテールでも男心をくすぐる。
さらに。100年かけて謎が解明されていくわけだが、その流れが通り一遍のものではない。戦争やギリシアをめぐる情勢に左右されたり、関わった人間の個性に左右されたり・・・
さらにそこに、当時の地中海の漁師の生活が描かれていたり、科学者の嫉妬、裏切り、ひらめき・・・そして最後は息をつかせぬデッドヒート。
謎に惹かれてしまった人間たちの織り成すドラマが謎そのものに花を添えている。
オーパーツとか、ムーとかより、現実の歴史のほうがよっぽど面白いよ。
あと、この機械の謎自体は解けたのだが、これだけの技術がなぜ埋もれてしまったのか?など、さらなる謎は続く。アラビア/イスラム文明にこの技術が部分的にも伝わっていたとしたら・・・まだまだロマンは多い。
ところで、小説も日本と外国ってお作法の違いはあるが、ノンフィクションってなんでこんなに書き方が違うんだろう。日本だとどうしても「○○さんに話を聞いた。○○さんの言うには〜」みたいになってるような気がする。
きっと、事実をありのままに伝える、という新聞記者的な哲学が背景になるのだと思うけれども、逆にいうと、世の中には「事実」というものがあって、ノンフィクションというジャンルではそれができるようではないか。
個人的には、フィクションとノンフィクションの間にはなだらかな境界があるだけではないかと思っている。書き手の思いが現実を曲げた形でしか文章にできないので。
その意味では、これくらい思いをたたきつけたノンフィクションが、日本でもどんどん書かれればいいのに、と思う。
![]() | アンティキテラ古代ギリシアのコンピュータ 木村 博江 文藝春秋 2009-05-14 by G-Tools |
↑これを読んだら、生まれ変わったらギリシャ時代の天文学者になりたいと思うはずだ。
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